子どものころ、香川県琴平町の金刀比羅宮【ことひらぐう】にお参りしたとき、父がおもちゃの刀を買ってくれた。そのときの嬉しさが、この年になっても忘れられず、何年か前に金刀比羅宮お参りして、同じような刀を買って帰った。
あの時代、子どもはみんな物にワクワクした。文房具から野球のグローブまで。勉強をガンバったら○○を買ってあげる、という親の一言で本当にガンバった。
だから親は物で子どもをしつけることができた。今、子どもは物でしつけられない。物に代わって心でぶつからなければならない。子育ての難しさがそこにある。
私は感動を与えるべきだと思っている。何か目標を決め、そして達成する喜びを親子で共有する。やった! できた! その一瞬の達成感はいつまでも忘れられないものだ。
そうそう、父より一歩早く金刀比羅宮の石段を登り詰めたときの大感動――実にゆたかに心に残っている。
ゆたかに
(毎日新聞専門編集委員/「デイキャッチ・勝ち抜き時事川柳」家元 近藤勝重)
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