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山崎貴 監督

あのころのエネルギーをいまに

(やまざき・たかし)1964年生まれ。長野県松本市出身。13歳の時に『スター・ウォーズ』と『未知への遭遇』に出会い、特撮の道に進むことを決意。1986年、阿佐ヶ谷美術専門学校を卒業後、株式会社白組に入社。伊丹十三監督作品『大病人』『静かな生活』などでSFXやデジタル合成を担当。2000年にVFX(Visual Effects=視覚効果)を駆使した『ジュブナイル』で映画監督としてデビュー。02年には監督第二作『リターナー』が公開。04年にはゲーム「鬼武者3 オープニングCGムービー」で世界各地のCGコンペティションで受賞。今回の西岸良平原作の『ALWAYS 三丁目の夕日』は監督第三作目となる。

昭和30年代のモノと心を見事に再現し、
日本アカデミー賞最優秀賞12部門を独占した
『ALWAYS 三丁目の夕日』。
この最新のCGを駆使して描いた「人情もの」について
そして今後の映画づくりについて山崎貴監督にうかがった。

木村― ぼくはこの映画を見逃してましてね、2月の始めに見たんです。とってもよかったですね。涙が出ましたものね。
 ぼくは昭和21年生まれですから、映画の舞台となった昭和33年には12歳。まさに「あのころ」なんです。

山崎― ちょうど鈴木オートの小学生の息子一平君と同年代ですね。

木村― ええ、ですから「あーそうだったよな」というのがずいぶんあったんです。
 監督は41歳ですけど、ご自分より上の世代を描くことに戸惑いはなかったんですか?

山崎― 戸惑いだらけでしたね(笑)。「なんでぼくなんだろう」と……。
 昭和30年代をよく知ってらっしゃるベテランの監督さんなら、ある程度できあがりが予想できたと思うんです。ぼくにやらせてみようというのは、そういうものじゃない、何か違ったものを求めていたんだと思うんです。江戸時代ならともかく、昭和30年代という、その時代を知っている人がたくさんいる時代を、ぼくのような知らない世代に描かせようというんですから、プロデューサーも大変な決断が必要だったと思います。

木村― いままで特撮とかCGといった世界で映画を撮ってきたわけでしょう。今回も、そういう技術が十分に発揮されているとは思うんですけど、やはりジャンルが違うわけで、違ったジャンルの映画を撮るということはどうだったんですか?

山崎― ぼくはSFがすごく好きで、SFをやり続けたいと思っていたんですけど、プロデューサーは「次もSFを撮ってしまうと、SFしか撮れなくなる。ここでこういうのをやっておくと、どんなジャンルもこなせるようになる。特撮スタッフだったジェームズ・キャメロンだって『タイタニック』を撮ったじゃないか」と言うんですね。「うまいこと言うな」と思いましてね(笑)。
 それで、ぼく自身は「人情もの」もやってみたかったからよかったんですけど、今回の映画は、ぼくらの得意分野のデジタルを駆使しなければできない映画でしたから、CGがハデに活躍する映画をつくりたいスタッフが、どう思うかが心配でした。やはり最初はみんなノリが悪かったんですが、だんだん30年代オタクになってきましてね(笑)。

木村― でも見ていて、そういうCGと人情ドラマとがまったく違和感なく一体化していましたね。

山崎― 一所懸命つくったら地味な街ができあがりましたけど(笑)。

木村― いちばんの感情移入したところといいますか、「ここにはこだわった」というところはどこですか?

山崎― 集団就職で上京してきた六子が、帰省のための切符をもらって、笑ってやり過ごそうとするんですが、じつは、「田舎に帰りたくないんだ」って、泣き出して2階に上がっていくシーンがあるんです。あのシーンは現場でも追い込みに苦労したんですけど、モニターを見ていて、自分でもジーンときましたね。役者も若かったし、ぼくたちスタッフも若かったけど、最後にはみんなきちっと答えてくれ、素晴らしい結果が出せたこともあって、ぼくにとって、ジーンときたんですね。

木村― テレビを見に近所の人が集るというシーン。あれは、まさにぼくらが体験した話ですね。

山崎― お父ちゃんがカバーを上げてテレビを見せると、わーと盛り上がるシーンがあるじゃないですか。あれはうらやましくてね、ぼくも体験したかったですね。
 テレビが「家に来る」というのは、今では考えられないことですね。いま新しいテレビを買ってもあそこまでインパクトはないですものね。あの激変こそが、喜びなんでしょうね。ああいう革命的な瞬間にぼくも立ち会いたかったですね。でも、この映画で疑似体験できてよかったです(笑)。

木村政雄編集長 Special Interview

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