木村― この雑誌は、これから退職を迎える「団塊の世代」の人たちをターゲットにしているんですが、この「団塊の世代」というのは、監督の世代からはどう見えますか。
山崎― 切り込み隊長みたいな世代ですね。すべての流行をつくりだしてきたというか、暮らしの楽しみ方を理解しているというか、楽しそうですよね。
もう少し上の世代だと、仕事がメインになっているので、定年を迎えたらどうしていいかわからないだろうと思うんですけど、団塊の世代の人たちは、定年になってもぜんぜん平気なんじゃないかと思うんです。若いときから、ずっと新しいものを吸収し続けてきているんですね。例えば団塊の世代の人はインターネットを苦もなく使いこなしてますし、新しい技術が開発されるとわーと群がるし。
楽しみ方を切り開いてきた世代ですから、「定年後の楽しみ方のモデルケースをつくっておいてください。ぼくらはそれをバージョンアップしますから、そのための礎を築いておいてください」という感じですね。
木村― 日本アカデミー賞をはじめ、各映画賞を総なめにしちゃいましたけど、そうすると、次が難しいんじゃないですか。次はどっちにいくんですか。
山崎― いくつかの企画を同時進行で動かしているんですが、今、タイムマシンを手に入れたような気になっているんですよ。昭和30年代に行けたということは、どの時代にも行けるんですね。
昭和30年代はいちばん難しい時代だったんです。この時代を知ってる方がたくさんいて、映像も残っているんですけど、ほとんどがモノクロで、「こうだったかもしれない」という曖昧さが許されないんですね。難しくて、手間がかかって、それでいて再現すれば地味にしか見えない時代だったんですね。そういう時代を、満点じゃないけどクリアしたと思ってるんです。そうするとどこの時代でもいけるんですね。ですからもっと違う時代を扱ってみたい、またタイムトラベルをしたいなと思うんですね。
「江戸時代はこうです」とか、ある様式ができあがっている時代があるじゃないですか。いろんな理由で様式が決まってきたんだと思うんですね。「そんな大きなセットはつくれないよ」とか、「そんな人数は出せないよ」とか、そういう都合によってできあがった様式は、ぼくらにはデジタルがあるんで、打ち破れると思うんですね。そういうことをやってみたいなと思っているんです。
木村― それはおもしろそうですね。はたして、次回作ではどんな時代にタイムトラベルさせてくれるんでしょうか。
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