後ろを振り返ったりせず、前向きに! ポジティブに!……。健康法の本を開くと、たいていそう書いてある。そうだろうなあとわかっていても、あのころによく帰って行く。
学生時代、私鉄沿線駅裏の飲み屋でよく流れていた「ラブユー東京」とか「小指の想い出」とか「帰って来たヨッパライ」とか、そんな歌を耳にすると、どっぷりとあのころにひたってしまう。
思うにその世界に自分の姿を見てしまうせいだろう。健気に生きていた自分……、そこに歌が流れてくると、もういけない。
高校3年のとき、舟木一夫の「高校三年生」がはやっていた。♪赤い夕陽が――これだけで不肖コンドウ、すぐに胸が熱くなるのです。
先日同窓会があり、校歌のあと第二校歌と呼んでいる「高校三年生」を合唱した。背中を押されるような力ではなく、肩に手をかけられる感じの力をもらった気がした。別れて駅への道々、思ったものだ。さあ、また歩くか――
あのころ
(毎日新聞専門編集委員/「デイキャッチ・勝ち抜き時事川柳」家元 近藤勝重)
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