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矢沢永吉

完璧じゃなくていいじゃん

もうちょっと不良に

木村― 『ファイブエル』という雑誌は50代に、特に団塊の世代にエールを送る雑誌なんですけど、いまの50代に向けてエールを送っていただけませんか。どうやればカッコ良くなれるんだろう、もう一回、走れるんだろう。

矢沢― 「いまの50代の人の最大の関心事が、妻とのコミュニケーションだ」ということを聞いたとき、ボク、「いやっ、わかるっ」と言ったわけ。
 最初は他人同士が惚れた腫れたで一緒になって、結婚して家庭をつくったわけでしょ。まあ、男と女でグレートというのは5年ぐらいなんだからさ(笑)。そうすると、30年、40年の道のりといったら、これはもう奇跡に近いよね。

木村― そうですね。

矢沢― だから熟年離婚がぼかぼか増えるのもわかる。まあ、夫婦がお互いに、認めてあげる、尊重してあげる。これは要るんだろうな。ボクなんか結構わがままだからね、尊重しろって言いながらさ……。

木村― 矢沢家は問題ないでしょう。

矢沢― いやあ、わからんすよ。わからんけど、問題ないように頑張ってますよ。そんなこと言ったらみんなそうでしょう。みんな一生懸命考えて頑張っているんじゃないの。
 それと強いて言えば、やっぱり奥さんばっかり見つめてじーっとして生きていけるわけないから、女房は何か空気のような感じでいてくれる。旦那も空気のようにいてくれる。だけど、「私はいまこれにすごくはまっているんだよね」というものがあったら、もっといいだろうね。
 旦那は「いまこれにはまっているんだ」って。それで、ふっと見たら、空気のごとく嫁がいて、「おっ、ちょっと何か食べに行こうか」といったら、すごくいいよね、お互いに信頼してるから、そうなるんだろうな。
 お互い相手ばかりやたら見てると、アラが見える。「なんでうまくできないんだ、おまえ」ということになる。だから女房以外に見るもの、女房も旦那以外に見るものが、あったらいいねえ。何なんだろうな、仕事でも趣味でも研究事でも関心事でも何か一つあったらいいねえ。

木村― たぶん女性はあると思うんですよ。

矢沢― うん、旦那、男は不器用だね。

木村― 男はないんですね。いままで例えば会社とか組織があったんですけれども、そこから外れると何もない。

矢沢― 「ちょい悪オヤジ」という言葉があるように、50代のおじさんがもうちょっと不良になったほうがいいのかな。

木村― みんな矢沢さんを目指して。

矢沢― いや、ボク(笑)……、ボクももっと不良になりたいですけどね。この間、「ストーンズ」見て思ったけど、ミック・ジャガー、62歳でしょう。改めて思ったね。「ああ、歌、やめねえぞ」と。それから、「よーっしゃ、ことしのステージどうしてやろうかな」と思ったし、「おれは歌手、ロックシンガー矢沢でよかった。毎年、毎年、現役でステージやれててよかったな」と。「仕事の枠、もっと広げちゃおう」、「もっとちゃんとしよう」と。
 そうなんだよなあ。うち、嫁さんに言われますもん。「あなたなんて、リタイアしたらまずいよ」って(笑)。「なんで?」「根が真面目だから、100パーセント私を見られても困る」って。絶対お互いにそうなんだね。

木村― 「まずいよ」っていうのはいいですね。

木村政雄編集長 Special Interview

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