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特別インタビュー

写真俳句&エッセイで新境地を拓いた森村誠一氏

 森村誠一氏といえば、社会派の作家だとばかり思っていた。ところが、なんと俳句という創作もしていたのである。写真に俳句をのせ、そこにエッセイも付けた。今回、話題作『写真俳句のすすめ』『写真俳句の愉しみ』(スパイス刊)を上梓した氏に、その心境をうかがってみた。
 「僕は、もともと歌人か詩人になりたかったんですね。ですから角川春樹氏や横山白虹氏の影響を受けて俳句を詠むようになったんです。俳句は、わずかな核から世界を広げていく小説とは全く逆。抽象の極地にある文芸です。表現の抽象化が進めば進むほど少ない言葉で、より広い意味を含ませることができる」

 暮れ残る光の破片【かけら】胸にあり

 逢い見てもやがて別るる春の日や

 春光の巧みと知れど山を恋い

小西六のスプリングカメラから始まったカメラ暦。写真俳句はデジカメとの出会いから始まっている。歴代の愛機(一部)。最近はオリンパスとパナソニックを愛用。 この抽象世界が、デジカメで撮った何でもない風景とのマッチングによって、より一期一会の世界に変わっていくから不思議である。
 「写真俳句は誰にでもできます。俳句を通して眺めると、毎日のなんでもない風景も四季の移ろいも出会いもすべてが特別の風合いを帯びてきて、世界がより深く、広くなったように思います」
 森村氏の俳句には、幽かに「恋うる」香りがする。それは、時に人であったり、過ぎてきた時であったり思い出であったりもする。社会派と目される人に意外な一面である。しかし、そこには、年齢を経てもなお、人生というものを諦めず、粛々と対峙する作家の姿勢が見えた。人はいくつになっても捨てたものではないぞ! という元気をもらったような気がする先人である。

 来年3月に森村氏原作の『蒼き狼・地果て海尽きるまで』が角川映画で公開予定。

森村誠一(もりむら・せいいち)1933年埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒業後、6年間のホテルマンを経て作家活動に入る。『高層の死角』(江戸川乱歩賞受賞)『腐蝕の構造』(日本推理作家協会賞)『悪魔の飽食』『人間の条件』など、数々の受賞作・ベストセラーを著すミステリー界の重鎮である。近作に、夭折した歌人・宮田美乃里氏をモデルにした『魂の切影』がある。
http://www.morimuraseiichi.com/

写真=工藤睦子/文=池ノ内知佐

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