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輪島屋善仁 銀座店

輪島塗り 高級漆工芸品の老舗

写真1「お椀の裏蓋の蒔絵が素晴らしい」 写真2「花見弁当箱や手軽なお重も」 写真3「国宝の南蛮漆器を復元したボトル」 写真4「お箸に施された小さな蒔絵も絶品です」 能登半島の奥に位置する輪島は、現代においては決して交通の便のよい土地ではない。金沢市からでも車で2時間はかかる。しかし江戸後期、輪島の塗師屋たちは海路を使って全国に輪島塗りを売り歩き、各地の豪商名家を顧客にして販売と修理のネットワークを作り、自らの商品の質を高めてきた。と同時に輪島には全国の最先端の文化情報がもたらされ、その中で塗師屋の美意識は研ぎ澄まされていく。その一端を今に残すのが、輪島屋善仁の八代目、中室勝郎氏が平成2年に復元保存した「塗師の家」である。たまたまこの2月に輪島を旅してこの家を見学する機会を得たが、明治期に建てられた職住同居の町家構造。内部は総漆拭いの数寄屋建築で、細部の至る所までピシッと張り詰めるような造作がなされ、美意識の固まりのような家だった。あちこちで町家を見てきたが、「塗師の家」は間違いなくその美意識において日本で最も美しい町家の一つだろう。廃屋になっていたこの家に、家業を傾けるかもしれないというほどの資金を投入して復元保存した中室氏は、この家を復元することで、「輪島に輪島塗があるわけが一見できる」のだとその著書(『漆の里・輪島』平凡社)で語っている。見事な見識だと思う。輪島屋善仁は、この他にも、岩手県浄法寺町に漆器業者としては初めての漆木の植栽事業を起こし、また漆器専門のデザイン会社を設立したりして、漆文化の根っこを幅広く支えている。日本の伝統工芸品は、幕末明治期に技術的頂点を迎え、超絶技巧的な職人仕事を残した。が、その技術は時代とともに途絶えたり、見る影もなくおちていく。漆工芸もその例にもれないというのが筆者の感想であったが、輪島屋善仁の活動とその商品の技術力を知って、輪島塗りは確実に盛り返しているのを識った。
 漆器は贅沢品ではあるが、漆自体は堅牢で丈夫である。特別な手入れをしなくとも日常使いで何の問題もない。実は極めて扱いやすい食器である。銀座店には数千円のお箸から一客数十万円の器まであるが、輪島の本店に行かずとも、美術品レベルの漆器を知ることができるだけでなく、器からインテリアまで、漆のさまざまな相談に乗ってくれる。こうした地方名店のアンテナショップは、銀座ならではの情報の宝庫である。一見の価値あり。ぜひ訪れてほしい。

輪島屋善仁【わじまやぜんに】 銀座店
中央区銀座3-8-8
電話◎03-3564-8211
営業時間◎11:00 ~19:00
年中無休 (年末年始、夏期休暇を除く)

取材・文=不二 徹/撮影=牧田健太郎

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