木村― 団塊の世代は来年ぐらいから定年を迎えることもあって、あんまり幸せそうな顔をしている人が少ないんですが、荒木さんのように人生を愉しく過ごすには、どうすればいいんですかね。
荒木― それは20代の女と付き合うことだね。それとちょっと冒険して人妻と付き合うこと。後ろめたいことを続けないとだめだね(笑)。
いや、『幸福写真』と同時に、「モノクロ写真になってしまった女を、淫したくなってカラー・ペインティング」した『色淫女』という写真集も出して、両極端やってるわけですよ。『幸福写真』だけでは、そこらの好々爺になってしまうから、『色淫女』なんかのおいた【おいた傍点】をしてないとだめなんです。
『週刊大衆』で「人妻エロス」というシリーズをやってるんですけど、人妻たちと接すると、「どうしようもないね女は」と思うわけ(笑)。AV女優を撮ってるシリーズもあるけど、そうすると若い女がわかる。ともかく他者と、とくに女性と触れあうことだね。
木村― 荒木さんというと、女性というイメージがあるんですけど。どうして寄ってくるんでしょうかね。
荒木― どうしてでしょうかね。かわいいんじゃない(笑)。でも、「冷たい」って、「私より写真の方が好きみたい」って言われるよ。やっぱり女より写真が好きだね。
木村― 被写体に感情移入してしまうことはないんですか。
荒木― 写真機が肉体の一部になっているんだね。でも全身写真機にはなりたくないね。やはり部分じゃないと。そこが私のセンチメンタルで軟弱なとこだね。
間違ったやつは、写真機自体になりたがるわけよ。そんなバカなことはやめた方がいいよ。人間を捨てて、体温を捨ててね。やはり脳味噌も肉体と思わなきゃ。そうじゃないと思ってる写真家が多いじゃない。最近はほとんどだめだね。
それに拍車をかけているのがデジタルカメラで、表層しか写らない。時からいうと、現在しか写らない。ところがライカのようなカメラでモノクロで撮ると、静かな音が過去を感じさせ、未来も見えてくる。そう断言してもいいと思っているんだけどね。
木村― さて、66歳になられて、自称54歳だそうですけど、これからどんな人生を歩んでいかれますか。
荒木― それは今晩出会う女が決めることですよ。ハハハ……
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