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ニートの指定席

 助手席に引きこもってもらうわけである。他人との接触が嫌だというのなら、運転手との間に壁を造ってもいい。とにかく助手席にじっといてもらう。そうすれば宅配の人が荷物を届けてとんとんと走っている間も、車は違法駐車にはならない。
 でも無理かな。それができるくらいなら、引きこもりにもなっていない。それができないから引きこもってるんですよ、ということなのかもしれない。
 ではどうすればいいのか。
 ぼくはこの事態に、代行というのが生れるのではないかと思う。東京ではまず見かけないが、地方に行くと代行屋というのがいる。車で町に出てきて、友人と話しているうち、酒が入り、酔っ払ってしまって、もう車を運転しては帰れない。じゃあ代行を呼ぼう、となって、駆けつけた代行の人に運転してもらって家に帰る。代行屋の車はその後をついてきて、運転してくれた人は、その車でまた戻るというわけだ。
 いまは地方都市のほとんどにあって、でも東京にはない。何故だかわからない。東京は広すぎるのか。
 いや問題はその代行屋ではなく、宅配などの営業車の代行だった。その駐車問題。とくに駅前など監視の厳しいところでどうするか。何とかならないのか。
 ぼくが頼りとするのは高齢者による代行。現役一線はもう退いているけど、何か役立つ仕事をしたいという人々がたくさんいる。
 よく駅前などで自転車の列を整えたりしていますね。若者みたいに激しくは動かないが、ゆっくり着実に仕事ができる。あの落着いた人々だ。
 つまり、駅前的繁華街で駐車を必要とする業者が連携して、高齢者をたくさん雇用する。その人々が駅前の一角で待機する。そこへ契約した営業車が来て駐車する。配達に行く運転手が降りてくる。それと入れ代りに、高齢者が運転席に乗り込む。別に運転するわけではなく、配達に行った運転手が戻るまで、運転席でじっと待っている。そうすれば駐車違反にはならない。代行である。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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