もう2、30年も前になるのか、田中角栄が逮捕された。じつはこの田中角栄も法律世界のインディ・ジョーンズで、逮捕の後だったか前だったかに、土地転がしのことを盛んに暴かれていた。あのときもテレビニュースの説明の人が、カラクリの図式を見せながら説明していた。どこかの河原に河川敷の土地があって、それをいったんこちらに回して、こう見せかけておいてから、それを今度はあそこに持っていくというような、そのカラクリの図式が、ほとんどホリエモンに重なった。
ある種の才能だろう。法律の隙間を見つけて、そこにそうっと手を入れて、大金をつかむ。
日本人は神経が細かく、繊細で、工夫とか改良が得意だ。だから隙間産業は大いに結構だけど、それがしかし法律の方に向かうと、見つけたと思った隙間の奥に、手錠が待っている。
法律とか権力というのは、そういうものだ。甘く見てはいけない。恐れなくてはいけない。とくに権力というものにとっては、逆に法律なんて手続きに過ぎないものだから、恐れをもっていないと危ない。人間に慣れたライオンだといわれても、実力はものすごいのだから、いざとなると法律など超えて押しかぶさってくる。
とはいえ、ぼくも法律の隙間というのは嫌いではない。人間、あまり法律に囲まれていると、何とかその隙間を通って裏側に出ることを夢見る。昔、JRがまだ国鉄であったころ、古いなあ、そんな時代の話だが、国鉄の労働組合がよくストをやっていた。ストというのは仕事を停止して、経営陣に要求を迫ることだけど、敵もさるもの、味方もさるもので、なかなか結着がつかない。そのうち労組の方が順法闘争という新手を考えた。あえて法律をがちがちに順守することで、仕事を停滞させて、経営陣に迫る。たとえば改札口で切符をものすごく念入りに調べてから鋏を入れていると、手間取り過ぎて改札口は停滞し、事実上はストみたいになる。でも切符を念入りに調べるということ自体は、違法ではない。
新聞でその順法闘争の記事を見たときは、なるほどそういう手があったのかと感心した。裏をかくというか、逆転の発想というか、やり方はいろいろあるものだと思った。
ホリエモンの休息
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