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うまいことやりやがったな症候群

 どうやら、この国には成功者への嫉妬心が渦巻いているらしい。六月末、渋谷で起きた「美人00女子大生誘拐事件」の報道を見て、そんなことを考えた。なぜ「美人」でないといけないのか、若干の戸惑いを覚えつつ事件の推移を注視していたところ、目撃者の存在もあり、比較的短時間で事件は解決をみた。拉致されていた女子大生も無事解放されたのだが、マスコミによる過熱報道が始まったのはこの後である。
 事件の被害者であるにも拘らず、母親が有名整形外科医とあって、報道の集中砲火を浴びている。「狙われた超セレブ 時給100万円の私生活」「豊胸手術で年収12億円 誘拐犯に狙われた有名美容整形クリニックのカネと評判」「狙われたセレブ女医 バスト92 ヘアヌードも披露していた」、週刊誌や新聞紙面にはこんな文字が躍った。
 なかには、月に200円の町会費をケチった話などもあって、これではいったいどちらが被害者なのか分からないほど。もちろん、週刊誌が書くように、彼女がこれほどもてはやされたのは、自らを厭わず広告塔にした宣伝戦略のおかげではあろう。だが、そのあげくが、「セレブぶりをアピールした結果がこの誘拐事件。世間で同情の声が少ないのも、何だかうなずける話」とまで書かれたのでは彼女も救われまい。
 なにより悪いのは、母親が資産家であることに目をつけ、娘の誘拐を思い付いた犯人の方なのだ。多額の宣伝費をかけず、自らマスコミに登場することによって評判を上げていくのも、ある意味では賢いやり方と言えるのかもしれない。
 聞けば彼女は、離婚後一人で娘を育てながら一念発起して医師の道を志し、30歳で医大に合格し形成外科医になったとか。努力の結果、ようやくにして今日(こんにち)を得たのである。そのプロセスをないがしろにして、事件の原因があたかも彼女のセレブぶりにあるかの様に報じるのは如何なものであろう。

5l世代へ 木村政雄の発言!

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