「手品は中学の頃からずっと好きだったですね」。20代の頃、バンドマンの仕事をしていたのだが、契約していたライブハウスの突然の倒産によって、現在の会社に職を得る。うまく仕事に就いたのはいいが、今まで本職のギタリストとして、日に3、4時間は練習していた時間がぽっかりと空いてしまった。そこで昔から好きだったマジックをまた始めようと思い立つ。プロ・マジシャンであるジョニー広瀬氏を紹介してもらい、本格的にマジックの練習に取り組み始めた。そのうち、自分が思いつくマジックが周囲にウケはじめ、プロ・マジシャンをも唸らせるという"クリエーター"としての才能が開花してきた。昨年は、優れたマジシャンやクリエーターに贈られる、マジック界の直木賞とも言われる「第15回厚川賞」をみごと受賞。テレビ出演などの機会も増えてきた。
しかしマジックの仕掛けなんて、いったいどんなときに思いつくものなのか。
「実は最初に思いついたものは、仕事で使う製版用のネガやポジからヒントを得たんですよ」といたって淡々とその制作秘話を語る。
益田克也
マジッククリエーターという生き方
「時間が空いたから、たまたまマジックを再開しただけ」
「あまり人前でマジックするのは得意じゃないんです」
数年前に突然やってきた今のマジックブームによって、テレビでマジックのコーナーをほぼ毎日見るような状況となった。世界的なクリエーターである益田さんもテレビ番組に出演し、その華麗なテクニックを披露することもある。「どちらかと言うと、人前で演技するよりもネタそのものを考えている方がいいですねぇ。演技は得意ではないんです」。
だが、撮影の為に衣装を付けたり、カードを使ってポーズを作る彼の姿は、やはりプロマジシャンに師事した基本が身に付いている。「結局、斬新なトリックも、基本の技があって不思議さが増していくものなんです。僕だって自分の作ったネタを、有名なプロの方が演じていたらものすごく不思議ですからね(笑)」。
まさにバンドマン時代に費やしていた一日数時間の練習時間を、そっくりマジックの練習に充てただけの基本テクニック、そしてジョニー広瀬氏というプロマジシャンの指導があっての今の益田さんなのである。そんな安定感が現役プロをも唸らせる斬新なアイデアの源泉ともなっているといえる。そんなマジックそのものへの愛着が、商品に滲み出てくるのではないだろうか。
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