いや、最近のエレベーター事故のことを書こうとしていて、「死刑台のエレベーター」というタイトルを思い出したばっかりに、長々と横道にそれた。
しかし酷い話である。エレベーターがいきなり動き出して挟まれて死ぬとは、いまどき誰も考えていない。
昔はもちろん考えていた。生れてはじめてデパートのエレベーターに乗ったときは、緊張して硬くなった。着いてドアが開いて、床に降りてホッとした。でもそれを何十回何百回と経験してきて、さすがに最近ではもう緊張で硬くなったりはしなかったが……。
あの高校生は本当に気の毒だ。日本中のみんながそう思ったはずだ。でもスイスのシンドラー社の日本支社長からは、気の毒だ、という感情はぜんぜん感じられなかった。まずい立場になってしまった、という緊張はあったが、亡くなった人への申し訳ないという気持は、まったく見受けられなかった。
ヨーロッパと日本では文化が違う。だから頭を下げても、どことなくただ下げただけ、という感じになるのはわかる。文化が違えばちょっとしたそぶりもちぐはぐになる、という点は差し引いて見るのだけど、でもお詫びするという感情は微塵もあらわれていなかった。文化は違ったって人間だから、何かはあふれ出るものがあるはずだけど、何もなかった。
スイスといえば平和の国、正しい国、というイメージが日本には定着している。でもそのイメージが一気に崩れたのではないか。曲りなりに日本で商売するなら、お辞儀の気持ぐらい知れ、といいたい。
その後でスイス本社の社長も来てお辞儀したが、態度はまったく変らなかった。要するに商売の不都合、経済の不都合、という立場からのみのコメントである。
日本もアジアの某国に対してあのくらいの態度が取れれば、事態は少しは変っているかもしれない。そうすればサッカーW杯でも、もう少しは点が取れたのだろうが、まあそうはいかないのが国民性というものである。図々しさに欠けているのだ。
でもそれでいいと思う。サッカーくらい負けてもいいじゃないか。どうしても勝ちたいなら、くよくよせずに靖国参拝してみろ、といいたい。いやこれは政治問題ではなく、ただのくよくよ問題だ。
まあそんなわけで、最近はどこかへ行ってエレベーターに乗るたびに、文字プレートを確かめる癖がついた。ぼくの場合はフジテックとか三菱とかあったが、シンドラーにはまだ出合っていない。ひょっとして慌てて隠したのだろうか。報道によると相当な数が日本国内で稼働しているようで、出合っても不思議はないのだけど。
外人社長の頭の下げ方
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