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外人社長の頭の下げ方

 今回の事故のお陰で、エレベーター事故というのがすいぶん頻発しているのがわかった。なかでもシンドラー社のエレベーター事故がダントツみたいだ。
 驚いたのは企業秘密が優先されて、エレベーターの管理とメンテナンスを引き継ぐ会社に、機械構造の要点が明かされていないのだという。つまりメンテナンス会社はよくわからずに、適当に管理をしているということなのだ。恐ろしいことである。これからは肝試しとして、あちこちのシンドラー社製エレベーターに乗ってみるのが流行るのではないか。
 いまは外貨というのがどんどん日本に攻めてきているから、今後も日本語のできない外国人社長が、記者会見の席で頭を下げる光景が増えると思う。
 いずれ牛肉会社の外人社長などが、またずらりと並んで頭を下げている場面が想像される。これは必ずやってくるだろう。エレベーターと牛肉は、その管理のゆるさがよく似ている。
 しかしエレベーターには何故そんないいかげんが罷り通るのだろうか。考えたら、設置型の移動機関だからだろう。車なら何か欠陥があると、メーカーの方がすぐ回収をしている。そうしないとブランドに傷がついて、すぐ売行きが落ちるからだ。車は買い換えが簡単である。
 でもエレベーターはビルの中に食い込ませて、据え付けている。簡単に取り外しができない。ビルの住人も毎日えんえんと階段を上るわけにもいかないから、つい怖いと知りながらもエレベーターに乗ってしまう。つまりそういう足もとを見て、その足もとにつけ込んで、いいかげんな管理がはびこっていくのだろう。これも結局は、法律的に罰則を強化するほかはないのか。モラルがゆるむと、だんだんと法律強化の世の中になっていく。

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)1937年、横浜生まれ。『父が消えた』で芥川賞受賞。『ふしぎなお金』『目玉の学校』など、著者ならではの、まともに考えれば考えるほど不可思議な人間社会の謎を探究する目からウロコの名著多数。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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