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特集――5L世代にむけて

金沢の文化と酒
――金沢随一の老舗酒蔵「福光屋」のこと

「私の日本酒造り」プロジェクト

豊穣な金沢だからこそ!

福光屋金沢店のエントランスと店内 福光屋のこのような果敢な取組は、やはり金沢という独特な土地と無関係ではないだろう。
 「うちの地下水は380年、ここから湧いています。もちろんいい水はいい酒造りに欠かせません。だからここに酒蔵がある。つまりこの土地は私たちにとってかけがえのない場所なんです。そして金沢は、江戸時代から前田家が生活文化を深めてきて、プレミアムマーケットが存在する場所なんです。経済的に豊かなのにエンゲル係数が高い(笑)。以前、特級、一級、二級と日本酒に級別があったときの消費量の統計では、ほとんどの県が、二級酒が七割、特級・一級酒が三割。ところが石川県はその比率が逆だったんです。ふつうの市民が毎日飲んでいるのが特級か一級酒。市場でその日一番美味しい肴を買ってきて、最も美味しい酒を飲む。また水の美味しい土地は、住んでいる人の舌の感度がいいです。そうい土地で酒を造って飲んでもらうことは、大変厳しいことですし、とても鍛えられますね。しかもこの町は、小さからず大きからずという規模。お客様の声がすぐに届く規模であり、かつ、様々な業態と様々なクラスの方たちがいる規模でもある。狭い町で、同じタイプの人しかいないと、なかなか酒は発展しません」。
 福光屋の生き方、松太郎社長の考え方から、金沢という土地の魅力と、その土地のあらゆる実りを活かして生きる酒蔵の素敵なあり方が見えてくる。「私の日本酒造り」をこういう酒蔵で体験できるとしたら、美味しい酒を自分のものにするというだけではないプラスアルファが必ず付いてくるだろうと確信した。

取材・文=不二 徹

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