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特集――5L世代にむけて

金沢の文化と酒
――金沢随一の老舗酒蔵「福光屋」のこと

「私の日本酒造り」プロジェクト

夢のネクストプラン「私の日本酒造り」を一緒に担う酒造メーカー、福光屋。
加賀百万石の城下町・金沢という独自の文化をもつ町とともに三八○年、この老舗酒蔵の独特な魅力と奥深さを紹介しよう。

慶応年間の頃の福光屋

 縁あって金沢に通うようになって数年になる。加賀百万石の城下町として伝統文化に彩られたイメージをもつこの町を知るのに、どこから入ったらよいのだろうか。私は「食」への興味からだった。ブリ、ノドグロ、カニ、岩ガキ、北陸の海の幸に恵まれ、加賀野菜がある。食材だけではない。京の老舗料理屋の跡取りが修業に来るような料亭料理屋がこの町にはある。つまり恵まれた食材を生かす料理文化があるということだ。全国に名の知られた老舗料亭が軒を並べ、寿司屋飲食店は数知れず。「ひがし」「にし」「主計町」と三つのお茶屋街が町の中心にあり、お座敷遊びの文化が今も息づく。料理があればそれを彩る器、九谷焼き、輪島の高級漆器がある。座敷で装う加賀友禅が華やかさをいや増し、座敷を演出する芸事が当たり前に日常生活に溶け込んでいる。ちょっと足を伸ばせば山中、山代、和倉などの有名温泉地もある。生活を楽しみ豊かにするあらゆる場がここにはある。
加賀鳶純米大吟醸(右)と黒帯飄々 そしてそれらに欠かせないのが「酒」である。およそ人間の生活文化の根っこを支えているのが酒文化だ。しかもここは霊峰白山からの良質な地下水に恵まれた水の美味しい酒所である。だから金沢には老舗といわれる酒蔵がいくつもあるが、その中でも380年という歴史を誇る随一の老舗が福光屋だ。金沢の町に馴染んでくると、なにかと「福光屋さん」という名を耳にする。「加賀鳶」「黒帯」などの福光屋の銘酒が知れ渡っているということだけでなく、この酒蔵が、老舗の古めかしい伝統イメージの中に留まらず、土壌改良から米作りにこだわって酒造りを革新し、モダンなショップを展開、容器のデザインに凝り、素敵な酒器を集めての展示販売、発酵技術から生まれる化粧品の開発や、とてつもなく旨いチョコレートを作ったり、ギフト用のラッピングまで提案する……とにかく酒造りと、酒に関わるありとあらゆる愉しみにトライしていることが話題になるのだ。だからライフエンタテイメント社の「私の日本酒造り」プロジェクトが、金沢の福光屋と一緒にやると聞いて、私は膝を叩いた。
 前置きが長くなったが、この革新的な老舗酒蔵を演出しているのが、創業から13代目、福光屋となってから8代目の福光松太郎社長である。金沢の政経文化を担うキーパースンの一人としても知られた存在である。

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